ともいきエッセー

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ともいきエッセー vol.38

「この世ばかりの生ではない」

 高齢者の多数を占める団塊の世代が65歳を越えたせいか、近年、死に関係する報道が増えている。『週刊 東洋経済』9月24日号が「納得のいく死に方」という特集を組んでいた。
 延命治療のこと、在宅死のことなど、多角的に取材されていて、我が身の死を考えるうえで参考になるだろう。
 しかし、これを読みながら、自分が僧侶だからだろうか、宗教者が登場して来世について語る記事がないことを残念に思った。人間は死が近づくと「死んだらどうなるんだろう?」という不安が必ずおこるという。そうした不安をどのように乗り越えるか。そこに宗教がある。今の世の人は、生きている間だけのことに重点をおいて、死そして来世を想うことを遠ざけてきた。生きている間をどう楽しむか、と。そして、いよいよ団塊の世代が死を迎える年齢になって、慌てて死について考え出したという感じに思える。それもどう死ぬかという狭い見方で。
 宗教的に見れば、死は通過点にすぎない。この世の生が終わったら、来世での生が始まる。死は終わりではないのだ。その来世での生を想いながら、現世での生き方を考えることこそ、自分が納得できる生をおくり、死を迎えることができるのではないだろうか。そして、来世の生を思えば犯罪なども起こそうという気持ちも起らないだろう。(J)

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