ともいきエッセー

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ともいきエッセー vol.39

「見つかるよう願っています」

 「〈このトイレにVAIOのPCケースとケーブルを忘れた方へ〉 H28/7/12(火)17時頃、このトイレでVAIOの灰色ぽいPC(?)ケースとケーブルを発見しました。盗まれたら大変だと思ったので、勝手ですが駅の事務の方へ届けましたので、そちらにご確認ください。見つかるよう願っています)」
 つい先日、議員の政務活動費の不正使用や白紙領収書の問題で、「もう性善説なんて言っている時代じゃないですね。人間が信じられない時代になってきた」とラジオ番組の中で解説者が言っていたことを、この財団で隣りに座る女性に話したら、「私、こないだ駅のトイレに入って感動したんです」と言って、スマホに写した冒頭の写真を見せてくれた。この文が書かれたメモ用紙がトイレ内の壁に貼ってあったという。「この最後の文がいいでしょ」と。
 今回の「ともいきエッセー」に、ラジオで聞いた性善説について、今の日本人はたしかに利己心が強くなって、他者への想いが薄れている、と書こうかと考えていたら、このトイレの文。大多数の人は、その本性に、まだまだ他者を信じ慮る優しい想いをもっているのだ。自分の利益ばかりを考え行動するような人は、ほんの一部だ。だから目立つのだ、と思いたくなった。心が温かく、ホッとした気持ちになった。
 このトイレに張られたメモは、そのトイレを使用した多くの女性たちを優しい善なる心に導いただろう。日本人は、まだまだ捨てたものじゃない。(J)

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