ともいきエッセー

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vol.58 「団塊の世代」

 前回の「嘘をついてはいけない」、前々回の「卑怯」を読み直しながら、昭和53年に永井道雄元文部大臣に取材したことを思い出した。お尋ねしたことは、主に宗教と道徳教育についてだったが、取材が終わった後の雑談で、永井氏は、現在の「団塊の世代」といわれる人々のことを危惧していた。

 「団塊の世代」と言われる人々は、戦後の昭和22年から24年の間に生まれた人たちを言う。ベビーブームという言葉があるように、他世代に比べ人口が多いのが特徴だ。今では、わがままで自己主張が強く、理屈っぽくて協調性がない世代とも言われている。高齢者施設で、職員から煙たがられているのも、この世代だ。

 永井氏は、この「団塊の世代」が育った時期を言っていた。焦土と化した中で、彼らの親は、家族が食べ暮らしていくことのみに一生懸命で、子供にまともな躾や道徳教育を与えることはできなかった時代だった、と。言ってみれば、他を押しのけてでも家族や我が子のために生きなければならなかった。こうした状況の中で育った「団塊の世代」が社会を背負う時代になったら、どんな世になるだろうか、そして、彼らが親になったらどんな子育てをするだろうか、と永井氏は心配していたのだ。

 取材を終えて、「団塊の世代」である小生、この話が強く心に残った。

 今日、何かにつけて「団塊の世代」の言動や為してきた事が話題になることがある。どちらかと言えば、悪いことについてだ。これまでの世の流れのなかで、「団塊の世代」が為してきたことを思い返してみると、善いこともたくさんあると思うが、反面、永井氏の話が腑に落ちるところも多々あるような気もする。そして、「団塊の世代」が育てた団塊ジュニアたちが親となった今、その影響と思えることも見えてきているような気がする。

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