ともいきエッセー

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ともいきエッセー vol.9

「子孫からの借りもの」
 
 日本人は先祖を大切にする民族だ。7月盆は終わったが、これからが本番の8月盆となる。 企業などはいっせいに休みとなり、都心に住む地方出身者は故郷へ向かう。道路は大渋滞、電車も満員。それでも故郷に住む親や親族、友人に会うことは、帰郷の苦を越える楽しみがある。故郷の家では、親類縁者が集まって精霊棚に向かって読経する僧侶の後ろで手を合わせ、それが終われば用意されたご馳走で大宴会。皆の笑顔が懐かしい。地域もこれに合わせてさまざまな祭りやイベントを開催する。これも楽しみだ。
 これらの様相は時代と共に変わっているが、その中心にある先祖への感謝の思いは変わらない。先祖があっての私、なのである。
 これはこれですばらしい民族行事で、決して廃れさせてはいけない。
 ところで、ご先祖は大切にするが、子孫に対する日本人の思いはどうだろう。
 数年前、「ともいき財団」の評議員であり、立教大学の阿部珠理教授にお会いした時、アメリカインディアンには、「現在使っているものは7代後の子孫からの借りもの」という教えがあることを聞いた。感動した。これぞ浄土宗のいう"ともいき"の精神だ。未来へ繋がっている私たちのいのちをはじめ環境などを、後世に生きるものたちのために大切にする教えである。「子孫からの借りもの」というのがいい。借りたものなら疎かにはできない。現状かそれ以上によくして返さなければ失礼だ。この考え方は、もっと人々に伝えなければ、と思っていて忘れていた。
 これをふた月ほど前、阿部先生に再会して思い出した。情けない。
 今さえよければいい、という今日の刹那的な風潮を見ていると、7代後の私たちの子孫はどうなっているのだろう。(J)

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