ともいきエッセー

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ともいきエッセー vol.21

「そんなに急いでどこへ行く」

 最近、"我慢が出来ない・待てない"というか、合理的な思考(?)で結果を早く求める人が増えていると思う。マスコミの報道のあり方や、「それでどうなるの」といったような人々の会話、企業などの人を育てず、成果だけを求める成果主義もそうだろう。社会と人そのものが無駄(?)を廃し"せっかち"になっているような気がしてならない。
 交通やコンピュータの発達で世界間の距離が縮まり、政治や経済活動でも「生き馬の目を抜く」ような合理的で素早い思考や対応が要求されている現代日本社会、人々の感性までも変化しているのではないか。みんながみんなイライラしているように見えてならない。最近の幼児虐待や直情径行的な事件が増えているのも我慢が出来ず待てないところから起きているように思える。
 当財団では、人々が互いに協力しながら生きる「ともいき社会」の実現を標榜している。この実現のために大切なのは他者を理解する力と優しさだ。この理解力と優しさは合理的な思考からだけでは得られない。ゆったりと落ち着いた思考と心が必要だ。昔から「急いては事を仕損ずる」「急がば回れ」「待てば海路の日和あり」・・・等、せっかちを諌める教訓は多い。合理的だからと言って結論を急がず、まず一呼吸して自分の心を見る。待つことは、一見無駄な時間のように見えるが、逆に心を育てることに通じていると思うのだが・・・。無駄の効用をもっと考えてみてはどうだろう。
 1973年、「せまい日本、そんなに急いでどこへ行く」という交通標語が流行ったが、いまの日本は交通ではなく、社会と人そのものに、この標語が必要ではないか。(J)

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