ともいきエッセー

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ともいきエッセー vol.31

「安心して死ねる社会へ」

 「ともいき財団」では、報道に携わる人たちを招いて、今日の社会的事象に宗教者はどう関わっていくことができるか、などの意見や提言を聞き、話し合う「ともいき懇話会」を開催している。先月の29日に第4回を開いた。今回のテーマは「どうしたら安心して死ねるか、そこに宗教者はどうかかわれるか」だった。今日、介護、医療、認知症、安楽死、尊厳死、遺産、葬儀......、死にまつわる様々な問題が湧き起っている。自分の死を考えたら不安になる人は多いだろう。安心して死ぬことは難しい時代になっている。
 特に、これから自宅介護が増えてくると思われる今日、医療現場でも、死がそう遠くない患者さんにどこまで医療行為をするべきか、そして、それを患者さん、家族・親族にどう伝えるかが問題になっているという。医療従事者からはこうしたところに宗教者の助けを期待したいという声も上がっている。
 しかし、宗教者がそういう場に出ていくことはなかなか難しい。まだ亡くなっていないところに、何をしに来たのだ、という雰囲気が人々の間にあるからだ。いま仏教界では、臨床宗教師などの育成をしている。それは死にのぞむ人や家族の要望で、日常の話から死についての話や来世の話をして、死に逝く人や家族の不安を取り除いてあげる活動だ。これこそ宗教本来のあり方と思うが、人々の抵抗はまだまだ多い。もっと自分の死について考え、家族などとも話し合う機会を持ってほしい。そして、菩提寺の住職さんとも死について話し合ってほしい。仏教には生きること、死ぬことについての教えがたくさんあるのだから。
 懇話会では、今後医療従事者の話を聞き、医療界への提言を作ってはどうか、という意見もでた。いまこそメディア界、医療界、宗教界が一つになって、人々の考え方を変え、「安心して死ねる」日本社会をつくっていかなければならないだろう。難しいことではあるが......。(J)

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