ともいきエッセー

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ともいきエッセー vol.36

「生きる価値」

 「突然でごめんなさい。ストレスでもう生きていけそうにないです。」
8月25日、青森の中学2年生の女生徒が自殺した。読売新聞の31日朝刊に、女生徒の遺書の抜粋が掲載された。原因はいじめのようだ。遺書の中には「もう、二度といじめたりしないでください。」と書かれている。
 この遺書を読んで、すごく気になる一文があった。「みんなに迷惑かけるし、悲しむ人も居ないかもしれないくらい生きる価値本当にないし、......」だ。この「生きる価値本当にないし」とはどういうことだったんだろう。彼女に自らの死を選ばせてしまった道程の中に、この「生きる価値」はどのような重みをもっていたのか。想像するだけでも胸が締め付けられてくる。
 人間は、いや生き物は、「生きていることに価値がある」のであって、「生きる価値」などと、人間をその能力などで価値を決めるようなことや、生きることに値段をつけるような価値観はあってはならないことである。なんでも金銭的価値に置き換えるような今日の世相が、こんな考え方を生み出してしまうのか。先般、神奈川県相模原市の障害者施設で起こった事件の犯人も、この「生きる価値」で障害者を見てしまったと思われる。
 価値観が多様化している今日、と言われているが、その多様化のあり方が、合理性や経済性に傾きすぎているのではないか。そこから、合理的でないもの、経済的でないものが排除されていくように見えてならない。
 もっとおおらかに、さまざまな価値を認められる、ゆとりあるこころをもってほしい。(J)

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