ともいきエッセー

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vol.87 「生活するって? 生きるって?」

 来週から8月盆が始まる。街中をスクーターや自転車で汗をかきながらお檀家を回る僧侶の姿が、なんとなく微笑ましく、「あぁ、お盆がきたのか」と実感する。都心などの7月盆を行う地域は、お盆と言っても、まだなんとなく実感が伴わないノリの悪さを感じるが、8月盆は社会全体が動きを止め、人々はご先祖の供養にと帰省し、お墓参りや盆踊り、そしてお祭りなどの盆行事に動く。
 しかし、最近では、この帰省も様相が変わってきているという。夫の実家への帰省に妻は付き合わず、夫と子供たちが行く。妻も実家の母も、そのほうが気を使わなくていいのだと言う。そして、いっそのこと、帰省しないで他所への家族旅行に代えている家族も増えている、と。
 いや、そればかりではなく、盆踊りや祭りの音がうるさいなどで、行事そのものを短縮したり止めたりするところもでているという。除夜の鐘もそうだが、昔からの伝統が騒音問題などで失われていくのはさみしい。
 なぜ、こうした社会になってきたのだろう。時代が変わってきたと言えばそれまでだが、なんか社会全体にゆとりがないというか、生活の忙しさに余裕を失っているような気がしてならない。また、行き過ぎた個人主義という社会学者もいる。
 生活するって、生きるって、どんなことを言うのだろう。

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