ともいきエッセー

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vol.89 「パワハラ問題に想う」

 スポーツ界で、パワハラ問題が喧しい。暴力を振るったとか権力を笠に着ているとか言って、メディアが権力を持っている側を総攻撃する。しかし、ちょっと待ってよ、と言いたい。表に出たパワハラを、さも良くないことだと、鬼の首を取ったように責め立てる。たしかにパワハラは良くない。しかし、権力を笠にきているようなことは、この社会にいくらでもあるんじゃないの、と言いたいのだ。そうしたことを暴こうとしないで、表に出たことだけを騒ぎ立てる。そうしたことを見ていると、〝この人たち、こころが病んでいる″としか思えない。

 良くないことを良くない、と言うのは正しい。それなら、この日本社会の中で、その良くないことがスポーツ界だけではなく、政治や行政をはじめとして、一般企業や社会生活の中まではびこっていることを問題としてほしい。〝忖度″などは、そんな社会の中から出てきた言葉ではないのか。部下が上司の顔色を気にすることなど、いくらでもあることだ。

 と言って、メディアなどが、「振り返ってみれば、自分の組織(企業)にもパワハラがあるから、こうした問題は追及しないでおこう」と言うのではない。ひとつのパワハラ事件をきっかけとして、この社会の在り方や日本人の考え方にまで掘り下げて、なぜ、こういう問題が起きるのかを示してほしいのだ。そこからはきっと「人間の愚かさ」が見えてくるだろう。この愚かさをひとり一人が自覚しないかぎり、こうした問題は他人事としていつまでもなくならないだろう。

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