ともいきエッセー

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vol.90 「秋彼岸に想う」

 秋のお彼岸を迎えた。「国民の祝日に関する法律」(昭和23年法律第178号)では、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」と示されている。

 人々は、祖先の眠るお墓を詣で、花や線香、そして「おはぎ」を手向けて手を合わせ、祖先に感謝のまことを捧げる。この「おはぎ」、「ぼたもち」とも言い、春は「ぼたもち」、秋が「おはぎ」などと諸説ある。この諸説の中、所によっては、「はんごろし」「みなごろし」と言う地方もあるそうだ。徳島県や群馬県の一部で使われているという。もち米とうるち米のつぶし具合で名が分かれるという。また、つぶ餡が「はんごろし」で、こし餡が「みなごろし」だという説もある。

 聞いてみれば、「なるほど」と理解もでき、おもしろいなと思うが、それにしても物騒な名前だ。誰がこんな名前を付けたんだろうと興味がわく。名前を付けた人は、これが祖先のお墓や家庭の仏壇にあげられるものになるとは思ってもいなかったのではないか。「ねぇ、お父さん、明日のお墓参りに持っていくのは、はんごろしがいい? みなごろしがいい?」なんて、落語ではないが、あの世で聞いている祖先もびっくりしてしまうのではないか。

 近年は、人々の生活が忙しくなったせいか、家族や一族そろってのお墓参りができなくなっている。そして、だんだんと祖先が忘れられていく。それこそ、祖先が「はんごろし」や「みなごろし」にされてしまうのではないか。

 お彼岸には、ぜひ家族や祖先につながる人々でお参りし、皆さん元気な姿を祖先に見せてやってください。

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