ともいきエッセー

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vol.91 「寛容性なき社会―何をそんなにイライラしているの―」

 「痛てぇじゃねーか、このバカヤロー!」、「あっ、すいません、ちょっと押されてたもんで」、「だから気をつけろっていうんだよ。このどアホウ」、「アホウとはなんだよ。ちょっと足を踏まれたくらいで」、「なんだとこの野郎」......。

 今朝の電車の中での出来事だ。私の乗った車両のどこからか怒鳴り声が聞こえてきた。よくある出来事だから、乗客もそんなことには無関心だ。2人の言い合いを聞きながら、〝混んだ電車なんだから、そんな怒らなくてもいいだろ″と思いながら、いつまでも終わらない言い合いに〝いい加減にしろよ″と心の中が変わってきた。そして周りの人の顔を見ると、一様に不快そうな顔をしている。何かきっかけがあれば、すぐにでも言い争いが始まるかもしれない、と思った。何か、人々の中にゆとりがなく、みんながみんなイライラしているように感じた。

 こうしたことは、街中を歩いていても、スマホのやりとりを見ていても(自分はスマホを持たないので娘に見せてもらう)感じる。世の中の人々が、なぜかイライラしているように見えてならない。ちょっとしたことでも、すぐに怒り出す。自己主張ばかりする。テレビのワイドショウなどでも、有名人の表面的な失言や暴力を、よく調べもしないで責め立てる。まったく寛容性を感じない。なぜだろう。家庭崩壊、無縁社会、成果主義、格差社会......。

 人間には、良い面も悪い面もある。100%悪い人も100%良い人もいない。自分を見てみればよくわかるはずだ。そこをよく理解・自覚することが、つまらない争いを避ける何よりも大切なことだと思うのだが......。そして、〝ともいき″とはここから始まると思う。

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