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vol.115 「ご先祖に申し訳ない」

 来週の20日から1週間は秋のお彼岸。多くの人がご先祖のお墓参りに出かけるだろう。法律でも、秋彼岸は「祖先をうやまい、亡くなった人をしのぶ」とある。

 菩提寺や霊園などに出かけ、ご先祖の眠る墓を洗い、花と線香を手向け、今は亡き祖父母や両親に現状の報告をする。お墓に向かい、静かに両手を合わせ、目をつむっている姿。歳を重ねるごとに美しいと思うようになった。子どものころには、手を合わせ、お墓に向かっても、親の真似をしているだけで、心では何も思っていなかったように思う。しかし、老年となった今は、亡き両親や祖父母に語り掛けたいことがたくさんある。「私のこれまでの生き方は、これでよかったか」、「父や母は、私にどんな人間になってほしかったか」などを訊いてみたい。そしてまた、大過なく今を生きていられることをおおいに感謝したい。自分が家庭を持って、初めて親の苦労が分かったことなど、生意気ばかり言っていたことも謝りたい。

 近年、日本人の宗教心の希薄化が言われているが、日本人の信仰は、教義への信仰ではなく、先祖信仰だと言われている。ご先祖に対する思いは、人々の心の中に強くあると思う。何か家族の中で悪いことをしたとき、「ご先祖に申し訳ない」、「ご先祖に顔向けできない」という言葉があるように、我々の道徳観や倫理観もご先祖に恥をかかせないように、自分を律していたように思う。しかし今、この言葉を聞かなくなった。言葉が無くなるということは、その思いが無くなることだと思う。いまの世を見ているとそんなことを感じてしまう。

 この秋彼岸を機に、家族でお墓参りをして、ご先祖と自分の関係について考えてほしい。

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