ともいきエッセー

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vol.121 「怖い! 読解力低下」

 12月3日、OECDが行っている15歳以下の子どもたちの国際学習到達度調査(PISA)が発表された。それによると、日本の15歳以下の子どもたちの文章読解力が前回調査の8位から15位に低下したという。識者たちはこの原因を読書離れやSNSにあると言っている。〝それはそうでしょ″と思う。若者たちから、いや大人も含めて読書の量が減っていることはもう何年も前から言われていることだ。長い文章を読んで、そしてその言わんとしていることが理解できなくなる。至極当然のことだ。この調査、ぜひ大人にもやってほしい。

 しかし、僕が心配なのは読解力の低下だけではない。そこから派生するさまざまなことに対する理解力の低下だ。人と話をしていて、その話の内容が理解できなくなったら、それこそこの人間社会はどうなるんだろうか、と心配でならない。各自が自分の言いたいことだけを言って他者の言うことに耳をかさなくなる。これは一見、自分の考えがしっかりしているようにも見えるが、実は単なる自我の主張だ。かつて言われていた〝自己中″ということかもしれない。これが今や当たり前の社会となったのか。今の社会を見ているとこんな人間が増えているようにも見える。人間関係がバラバラになってきているように見えてならない。

 いったい、世の人たちは、こうした現象をどう思っているのだろう。口先では、絆、協調が大切だと言う。しかし、人々の孤独感、孤立感、疎外感は増すばかりだ。そして、このようなことが嵩じて人間不信になったり精神を病んだり、また逆に我慢できずに怒りを爆発するような人が増えているようにも見える。

 共に生きる社会のために大切なことは、なによりも他者を理解する能力ではないだろうか。この能力が社会を構成するうえでどんなに大切か考えてほしい。文章読解力低下の新聞記事を読みながら、怒りと情けなさが入り混じった一日だった。杞憂にならなければいいが。

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