ともいきエッセー

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vol 141「年寄りはあまり長生きしないほうがいい?」

 先日、と言っても2日前。天気のよさに誘われ、また家に籠っているのにも飽きて、どこに行こうという目的もなく妻を誘ってドライブに出た。住んでいる神奈川県を出るわけにはいかないから、できるだけ人の少ない地域を選んで車を走らせた。神奈川県も伊勢原・大山方面へ行けば、まだまだ長閑な田園風景がある。田植えの終わった緑の田を見ながら、「あぁ、きれいだ。やっぱり日本ていいなぁ」と、一人感慨にふけったりしていたら、妻も同じことを思ったらしく、「こういう風景を見ているとほっとするわね」と言った。

 昼時、営業をしていた小さな食堂に入った。客はいず、初老のおかみさんがのんびりテレビを見ていた。「あーあ、いつになったらこの騒ぎが収まるんでしょうかね」と言いながら、注文を取りに来た。僕は注文したついでに、「お店は休まないんですか」と訊いた。「アハハ、お客さんなんて少ないから、開いていても休んでいても同じなんですよ」とおかみさん。経済的な心配はなさそうだ。そして、厨房に入ったおかみさんは、「今もコロナのニュースを見ていたけど、あたしたち年寄りには分からない言葉が多くて困っちゃいますよ」と。僕は、これはコロナ関連のニュースでやたらに横文字の言葉が使われていることを言っていると思った。日頃、書物や日常会話の中に横文字が増えていることに腹を立てている僕は、「そうですよね。ステイ・ホームだとか東京アラームだとか、誰を相手に言っているのか。バカじゃないかと思いますよ。日本人に伝えたいのなら日本語で言えばいいじゃないですか」と。「そうよねぇ、若い人は分かるかも知れないけど、わたしら年寄りには、何をいっているんだかさっぱりわからない言葉がたくさん。年寄りは感染すると重症化しやすいと言っているんだから、もっと分かるように言ってくれればいいじゃない。ホントおかしいと思う。なんか、今の時代は、年寄りに黙って言うことを聞いていなさい、みたいでイヤな世の中ですよ」と。そして、おかみさんは、「これからの世の中、年寄りはあまり長生きしないほうがいいと思いますよ」と続けた。

 僕もそう思っている。

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