ともいきエッセー

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vol 143 「今だけ、金だけ、自分だけ」

 数日前、勤務先の机の上にたまっていた宗教紙を見ていたら、何かの記事の中に「今だけ、金だけ、自分だけ」という言葉が目についた。東京大学の鈴木宣弘教授が言っている言葉だという。日頃、今の日本社会の現状を「おかしい、なんか変だ」と考え続けている僕にとって、この言葉は、まさに今の社会に生きる私たち日本人の側面を表した言葉だと思った。
 さっそく、鈴木宣弘教授をPCで調べた。それによると、この言葉は氏の『食の戦争米国の罠に落ちる日本』という著書の冒頭に記されているという。内容は、きっと日本の食料事情や、農業に関するものだと想像する。読んでないから分からない。しかし、この書のあとがきがPCに紹介されていて、そこには「食だけではない。これ以上、一部の強い者の利益さえ伸びれば、あとは知らないという政治が強化されたら、日本が伝統的に大切にしてきた助け合い、支え合う安全・安心な社会は、さらに崩壊していく。競争は大事だが、あまりに競争に明け暮れる日々は、人心も蝕み、人々は人心ともに疲れ果てる」と書かれている。
 まさに、今日の社会情勢に的を得た指摘だと思う。「今だけ、金だけ、自分だけ」という現在の社会的な風潮に飼い慣らされ、知らぬ間にそれが当たり前だと思い込んでしまう。そして身も心も疲れ果て心身を病んでしまう。
 今はそんな時代なのかもしれない。せかせか時間に追われ、余裕を失い、寛容性も失って他者を責める。そして自分も知らぬ間に心を病む。
 この状態をなんとかしなければ、「ともいき」の実現は夢の夢になってしまう。
 助け合い、支え合う社会は「今だけ、金だけ、自分だけ」という考えからは生まれてこない。

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