大分県国東市 「あそび防災プロジェクト in 浄泉寺」

大分県国東市 「あそび防災プロジェクト in 浄泉寺」
10月19日(日)、大分県国東市にある浄泉寺(中野浄昭〈なかの・じょうしょう〉住職)の境内で行われた「遊びながら学ぶ防災」をテーマにした「あそび防災プロジェクト in 浄泉寺」を視察しました。浄土宗ともいき財団ではこの取り組みに助成しております。
大分空港から車で約10分、のどかな田園風景が広がり始めたころ浄泉寺が見えてきました。国東市は大分県の北東部、瀬戸内海に面した自然豊かなまちで、2006年に旧国東町・安岐町・武蔵町・国見町が合併して誕生しました。浄泉寺のある旧安岐町も、穏やかな海と里山の風景が広がるこの地域で、中野住職は地域の方々と防災をはじめ様々取り組みを展開しています。
この活動は、昨年夏の台風による土砂災害をきっかけに、地域住民の防災意識が高まったことから、イベント実施を通じてコミュニティのつながりを強化したいという思いから企画されたものです。
また、浄泉寺が地域の一次避難所に指定されていることもあり、災害時に地域の拠点として機能するための試みでもあるということです。
午前・午後の二部構成で、境内や屋内をフル活用して「防災スリッパづくり」「防災リュック間違いさがし」「防災クイズラリー」など、子どもから大人まで楽しみながら学べる体験ワークショップが展開されました。
近隣の南安岐地区公民館では、消防署・消防団・防災士との連携による車両展示(消防車、地震体験車)や防災講話も行われ、地域全体を巻き込んだイベントとなりました。
特に人気を集めていたのは、チャンバラ合戦を取り入れた体験型プログラムです。
子どもも大人も夢中になり、にぎやかな声が響き渡りました。
印象的だったのは、運営スタッフの多さと一体感です。中学生から年配の方まで、約100名近いスタッフがそれぞれの持ち場で活き活きと動いていました。
多くの方が「ぜひ協力したい」と自発的に参加されたとのことで、楽しんで活動されている様子が伝わってきました。
また、消防団、自治会、社協、JAおおいた、自衛隊、大分大学減災復興デザイン教育研究センター、アマチュア無線クラブ、ジュニアリーダーの会など、関係団体も多岐にわたっており、住職の広い人脈と、人を巻き込むリーダーシップが取り組みの根っこを支えていると感じました。
境内の一角では、女性消防団による炊き出し訓練も行われました。学校の調理用で使われていた大鍋で作った豚汁がふるまわれ、境内で温かい食事を楽しみました。その傍らでは、副住職の中野真琴さん(久留米・大本山善導寺勤務)がピアノで伴奏し、ジュニアリーダー出身の女性が歌を披露しました。副住職は「佛教大在学中に阪神淡路大震災を経験し、神戸の避難所で子どもたちへ人形劇の慰問をした体験から、音楽など癒しの提供も必要だと感じた」と語り、音楽を通じた癒しの時間になりました。
中野住職は25年間、国東市(旧安岐町)職員として地域行政に携わったのち、退職後は浄泉寺の住職として地域の防災力向上に取り組んでいます。
今回のイベントは、"遊びながら防災を学ぶ"という新しいアプローチで、約300名の地域の幅広い世代が集まり、支え合う関係づくりの第一歩となりました。
中野住職は「お寺にできることを改めて発見できた。この経験をまとめ、今後の活動につなげたい」と話していました。「来年も同じ規模でできるとは限らないけれど、まずは"きっかけ"をつくりたかった」と語る言葉に、地域に寄り添うお寺の新たな役割を感じました。
浄泉寺が今後、防災と地域コミュニティのハブとしてどのように展開していくか、大いに注目したいと思います。(I)
