愛媛県伊予郡松前町 大念寺「まさきテンプルサンガ」

愛媛県伊予郡松前町 大念寺「まさきテンプルサンガ」
12月7日(日)、愛媛県伊予郡松前町にある大念寺(豊郷正信<とよさと・しょうしん>住職)の境内で行われた「まさきテンプルサンガ」を視察しました。浄土宗ともいき財団は、この取り組みに助成しています。
松前(まさき)町は、道後平野の南に位置する海の近くの町で、多くの川と地下水に恵まれた水の豊かな地域です。人口は約3万人、町の中心部や空港からもアクセスがよいため、松山市のベッドタウンとして通勤・通学にも便利な環境です。
大念寺では、住職と奥様が中心となり、地域の誰もが安心して立ち寄れる居場所(サードプレイス)として、また災害時に助け合うコミュニティづくりを目的として、この「まさきテンプルサンガ」という活動に取り組んでいます。
到着してまず驚いたのは、境内に敷かれた人工芝と木製の遊具(写真下上段下段左)。本堂の階段脇には滑り台(写真下段右)もあり、まさに子どもや親子の居場所といった雰囲気です。遊具のメンテナンスは住職自ら行い、安全にも配慮されているとのことです。一角では、伊予高校の生徒たちによる子ども服の譲渡会も行われていました。この日は天気もよく、来場者は思い思いの場所でお弁当を広げ、子どもたちは遊具で楽しそうに遊んでいて、まるで公園のような空間が広がっていました。
活動が始まったのは令和2年12月。コロナ禍で近隣の子ども食堂が中止になったことをきっかけに、不定期でマルシェを開催し、お弁当を提供することからスタート。その翌年には「NPOみんなの食堂すまいるきっちん」を設立し、マルシェとお弁当のテイクアウトを組み合わせ、活動の土台が整いました。
令和5年からはお弁当配布を月1回(1月・8月を除く)に定例化し、フードパントリー(食料品配布)や年2回のマルシェを同時に開催しています。お弁当は手作りの時もありますが、今回はボランティアの方の縁で近隣の「ほっともっと」から廉価で提供されました。18歳以下は無料、大人は300円で配布しているそうで、参加者からはとても好評だとのことです。フードパントリーで配布する食品は、地元のコンビニやショッピングモールから提供されることもあるそうで、おやつは近隣の方々の気持ちのこもった手作りのものが多く、マルシェもつながりのある方々の協力で出店してもらったりと、手作りで運営されていることが伝わってきました。
もともとこの地域では、12月の最初の己午の日に、その年に亡くなった方(新仏様)のお正月行事である「己午(みま)」が行われ、余った鏡餅をお雑煮としてふるまったりしていたことが活動のきっかけだそうです。そこから発展し、今では地域の方々にとって月に一度の楽しみとなる活動に定着したのは素晴らしいことです。
住職と奥様は、活動を続けていく中で「自分たちにちょうどいい規模がわかってきた」と話してくれました。コロナ禍から日常が戻るまでの変化の多い5年間を経て、少しずつ無理のないやり方が見えてきたとのことです。町の社会福祉協議会とのつながりもでき、地域内外の団体との情報交換も進んでいるようです。活動後に行われていたボランティアスタッフの反省会をのぞかせてもらいましたが、次回に向けた改善やアイデアが活発に話し合われていたのが印象的でした。
視察を通じて、住職夫妻の細やかな心配りと地域の方との信頼関係、そして無理をしすぎないという姿勢が活動継続の秘訣なのだと学ばせていただきました。この活動が地域の高齢者や子育て世代にとって安心できるサードプレイスとしてこれからも続いていくことを期待しています!(I)
